ぜつがん舌がん治療
舌がんは口腔がんの中で最も多く、口腔がんの約半数を占めています。舌の横側(舌側縁)によくできます。がんは細胞レベルで広がっていくので、完全に取り去るには見た目でガンと思われる部分だけでなく、周囲の正常な部分もある程度切除する必要があります。一般的にはがんと思われる部分のおよそ1センチ外側(安全域)まで切除します。
早期の舌がんでは安全域を付けて切除しても、縫い閉じるだけで術後の食事や会話の機能を十分に保つことができます(舌部分切除、一次縫縮)。
- 舌がん(術前)
- 舌がん(舌部分切除、一次縫縮後)
舌がんの放射線治療
早期の舌がんで転移のない場合は、放射線を放出する線源をがんの部分に直接刺入する放射線治療(組織内照射)によって完治できる場合があります。
当分野では、本学医学部附属病院放射線治療科と連携し、定期的にカンファレンスを行い、最良の治療法を決定しております。
舌がんの進行例の手術
ある程度の大きさになってしまった舌がんでは、舌の動かせる部分を半分程度切除(半側切除術)する、あるいは舌の動かせる部分をほとんど切除(亜全摘術、全摘術)する必要があります。この場合は、そのまま縫い閉じてしまうと術後の食事や会話の機能が落ちてしまいます。
当分野では、患者さん自身の前腕の皮膚と脂肪(遊離前腕皮弁)、太ももの皮膚と脂肪(遊離前外側大腿皮弁)、あるいは腹部から皮膚と脂肪をその下の腹直筋と一緒に採取して(遊離腹直筋皮弁)舌に移植しております。
舌半側切除術の術後は、食べにくさは残るものの、多くの症例で術前と遜色ないものを食べることができます。会話は発音しづらくなる言葉はありますが、日常会話では不自由しない程度となります。舌亜全摘術・舌全摘術の術後は、動かせる部分の舌はほとんどなくなってしまいますので、食事と会話の機能は低下してしまいます。食事内容に制限はありますが、リハビリによって、口から食事をすることは可能です。会話は、通じにくくなりますが全く話せなくなるわけではありません。食事や会話を補助する装置(PAPという、入れ歯のような装置)を使用する場合もあります。
当病院には食事や飲み込み、あるいは発音のリハビリを専門的に行っている摂食嚥下リハビリテーション外来があり、入院中から緊密な連携のもとチーム医療を行っています。退院後も、なるべくQOLを維持できるよう、様々な専門外来と連携してサポートしていきます。
- 舌がん(術前)
- 舌がん(舌半側切除、遊離前腕皮弁移植後)