口腔がん 口腔癌 口腔腫瘍(がん)の治療:顎口腔外科学分野【東京医科歯科大学】

口腔がん 治療 口腔癌 口腔腫瘍(がん):顎口腔外科学分野【東京医科歯科大学】
東京都文京区湯島1-5-45
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口腔腫瘍(口腔がん)

口腔腫瘍グループ
担当医:原田浩之、島本裕彰、富岡寛文、田中香衣、平井秀明

【はじめに】
当分野の口腔腫瘍(しゅよう)グループでは、口腔、あご(顎)、顔面ならびにその隣接組織に生じる腫瘍を扱っています。標準的な治療をもとに、それぞれの患者さんごとに最良の方法を呈示し、専門性の高い治療を行っています。また、基礎研究や臨床研究も積極的に行い、治療成績および術後機能の向上に努めています。

特色

口腔、顎、顔面領域の疾患は、見た目をはじめ、食事や会話などの、日常生活を送るうえで非常に重要な機能に影響があります。治療にあたっては、病気の治癒だけでなく、失われた形や機能をいかに自然に近い形で取り戻すかを重要視しています。

対象疾患

◆悪性腫瘍(がん)
舌(ぜつ)がん、歯(し)肉(にく)がん、口底(こうてい)がん、頬(きょう)粘膜(ねんまく)がん、硬(こう)口蓋(こうがい)がん、唾液(だえき)腺(せん)がん(粘(ねん)表皮(ひょうひ)癌(がん)、腺様嚢胞(せんようのうほう)癌(がん)など)、口腔領域の肉腫(にくしゅ)や悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)、悪性リンパ腫など

◆良性腫瘍
・歯原性腫瘍
エナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、歯原性粘液腫など
・上皮性腫瘍(口腔領域)
乳頭腫など
・非上皮性腫瘍(口腔領域)
線維腫、血管腫、リンパ管腫、神経系腫瘍(神経鞘腫、神経線維腫など)、骨関連疾患など
・唾液腺腫瘍
多形腺腫、基底細胞腺腫、筋上皮腫など

主な実績

高齢化に伴って、他のがんと同様に口腔がんの罹患数も増加しており、2015年には年間7,800人になると予測されています。当分野では、口腔がん、もしくはその疑いのある方を、関連病院をはじめ多くの病院よりご紹介いただいており、取り扱う口腔がん患者数は年間約150名にのぼり、日本一の症例数となっています(参照:手術数でわかるいい病院2016)。早期がんから進行がんまで幅広く治療しており、治療成績もトップクラスを誇っています。また、前述のように治療後の生活の質(QOL: quality of life)の維持にも努めています。
がんの進行度は、その大きさや周囲の組織への浸潤(しんじゅん)度合、転移の状況などからステージ1からステージ4の4段階に分けられますが(ステージ1から4に進むにしたがって進行がんとなる)、当科で治療した患者さんの5年生存率はステージ1が97.9%、ステージ2が91.5%、ステージ3が83.5%、ステージ4が77.0%と良好な成績成績を得ております。
口腔がん 治療の実績グラフ

当分野で行っている治療の紹介

治療法については、患者さんごとにがんの悪性度や進行度を考慮し、最良のものを提案させていただきますが、現在の病状や、他の選択しうる治療法についても、それぞれのメリット、デメリットなどを含めて十分に説明し、納得していただいたうえで決定しています。以下に、当分野で行っている治療の一部を紹介させていただきます。

◆舌がん(部分(ぶぶん)切除術(せつじょじゅつ))
舌がんは口腔がんの中で最も多く、口腔がんの約半数を占めており、舌の横側(舌縁部)によくできます。がんは細胞レベルで広がっていくので、完全に取り去るには見た目でがんと思われる部分だけでなく、周囲の正常な部分もある程度切除する必要があります。一般的にはがんと思われる部分のおよそ1センチ外側(安全域)まで切除します。
早期の舌がんでは安全域を付けて切除しても、縫い閉じるだけで術後の食事や会話の機能を十分に保つことができます。
舌がん(術前)、口腔がん 治療 舌がん(舌部分切除、一次縫縮後)、口腔がん 治療
舌がん(術前) 舌がん(舌部分切除、一次縫縮後)

◆舌がん(放射線治療)
早期の舌がんで転移のない場合は、放射線を放出する線源をがんの部分に直接刺入する放射線治療(組織内照射)だけで完治できる場合があります。当分野では、本学医学部附属病院放射線科と連携し、定期的にカンファレンスを行い、最良の治療法を決定しております。

◆舌がん(半側切除、亜全摘、全摘)
ある程度の大きさになってしまった舌がんでは、舌の動かせる部分を半分程度切除(半側切除術)する、あるいは舌の動かせる部分をほとんど切除(亜全摘術、全摘術)する必要があります。この場合は、そのまま縫い閉じてしまうと術後の食事や会話の機能が落ちてしまいます。当分野では、患者さん自身の前腕の皮膚と脂肪(遊離前腕皮弁)、あるいは腹部から皮膚と脂肪をその下の腹直筋と一緒に採取して(遊離腹直筋皮弁)口腔内に移植しております。
舌半側切除術の術後は、食べにくさは残るものの、多くの症例で術前と遜色ないものを食べることができます。会話は発音しづらくなる言葉はありますが、日常会話では不自由しない程度となります。舌亜全摘術・舌全摘術の術後は、動かせる部分の舌はほとんどなくなってしまいますので、食事と会話の機能は低下してしまいます。食事内容に制限はありますが、リハビリによって、口から食事をすることは可能です。会話は、通じにくくなりますが全く話せなくなるわけではありません。食事や会話を補助する装置(PAPという、入れ歯のような装置)を使用する場合もあります。
当院には食事や飲み込み、あるいは発音のリハビリを専門的に行っている摂食嚥下リハビリテーション外来があり、入院中から緊密な連携のもとチーム医療を行っています。退院後も、なるべくQOLを維持できるよう、様々な専門外来と連携してサポートしていきます。
舌がん(術前) 口腔がん 治療 舌がん(舌半側切除、遊離前腕皮弁移植後) 口腔がん 治療
舌がん(術前) 舌がん(舌半側切除、遊離前腕皮弁移植後)

◆下顎歯肉がん(かがくしにくがん)下顎辺縁切除術、下顎区域切除術
歯肉がんとは、歯ぐきにできるがんのことで舌がんに次いで2番目に多いものです。歯ぐきのすぐ下にはあごの骨(顎骨(がくこつ))があるので、歯肉がんは顎骨を侵しやすく、早期でも手術の際には顎骨の一部を切除する必要があります。この場合、その部分の歯も失われてしまいます。顎骨をある程度以上切除すると、顔の輪郭が変わってしまったり摂食機能が落ちてしまったりします。とくに、進行した下顎歯肉がんの手術では、下顎区域切除を行う(下顎の連続性が失われる)ため、これらの影響が非常に大きく出ます。
当分野では、切り離してしまった部分に、肩の骨(肩甲骨)を移植することによって、これらの機能障害を最小限にするよう努力しています。この時、切除した口の中の粘膜は、肩甲骨と同時に採取した肩の皮膚を使って補います(遊離肩甲骨複合皮弁移植)。この手術でも血管吻合を行い、残った顎骨と肩甲骨はチタン製のプレートとネジで固定します。この際はあらかじめ、CT検査のデータをもとに患者さんの下顎骨の模型(3Dモデル)を作り、術後のかみ合わせや顔貌が極力変わらないようにしています。失われた歯については、特殊な入れ歯(顎(がく)義歯(ぎし))を用いて回復しますが、条件が揃えば人工の歯根(しこん)(インプラント)によって回復することもできます。
口腔がん 治療 東京 口腔がん 治療 東京
下顎歯肉がん(術前) 下顎歯肉がん
(下顎区域切除、遊離肩甲骨複合皮弁移植後)

術前3Dモデル 口腔がん 治療
術前3Dモデル

術前パノラマX線写真 遊離肩甲骨複合皮弁移植後パノラマX線写真
術前パノラマX線写真 遊離肩甲骨複合皮弁移植後パノラマX線写真

◆頸部リンパ節転移(頸部郭清術)
(けいぶリンパせつてんい(けいぶかくせいじゅつ))
がんは、一般的にリンパの流れに沿って転移しやすく、口腔がんでは顎の下や首のリンパ節(頸部リンパ節)に約3割の確率で転移を起こします。頸部リンパ節への転移を認める場合や転移が疑われる場合には、頸部のリンパ組織を取り除く手術(頸部郭清術)を行います。この手術ではリンパ節転移を確実に除去するために、リンパ節に隣接する血管、神経、筋肉、脂肪も併せて切除します。症例によっては血管、神経、筋肉はできる限り温存し、術後の障害を最小限にするよう努めています。

◆化学療法(かがくりょうほう)・放射線療法
進行がんでは、手術に化学療法(抗がん剤を用いる治療)や放射線療法を組み合わせて治療成績の向上を図っています。しかし、化学療法や放射線療法を行う際には口内炎や吐き気、血球減少などの様々な有害事象が生じます。当分野では、これら治療時の有害事象を極力緩和するよう、患者さんのサポートを行っており、ほとんどの患者さんで治療を完遂できています。


外来診察

毎週、火曜日の午後と金曜日の午前・午後に専門外来を開設しています。治療前の診察・診断だけでなく、治療後の定期診察を複数の口腔がん専門医により行っています。治療後もCT、MRI、超音波診査、PETなどの画像診断を用いて、厳重な経過観察を実施しています。経過観察期間には制限はなく、診察を中断することはありません。

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
口腔機能再構築学講座 顎口腔外科学分野
東京都文京区湯島1-5-45

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